運動には血圧の低下作用があり、高血圧の人やその予備軍の人、予防したい人達は積極的に運動を実施することが推奨されています。 ただ、ここで推奨される運動様式はほとんどが有酸素運動となっています。確かに有酸素運動には血圧の低下作用があり、効果的だと思います。 一方で、筋力トレーニングには血圧の低下作用がないのかという疑問も出てきます。 今回は筋トレの血圧低下作用について調べた研究を紹介致します。 結論としては
- 研究対象は主に女性・中高年を対象
- 筋力トレーニング(ウエイトトレーニング)は血管の適応促進効果あり
- 血管内の血液循環・内皮機能改善効果に期待出来る
- 高血圧予備軍・高血圧疾患者の筋力トレーニング(ウエイトトレーニング)は血圧低下効果に期待出来る
まとめ
このように筋力トレーニングにも血圧の低下作用があるようです。 中高年から高齢者は有酸素運動よりも筋力トレーニングがまずは優先した方が効果的です。 筋力トレーニングには、筋肉量、筋力、持久力、バランス力など日常生活に特に必要な要素が向上する効果が期待出来ます。有酸素運動だけではこのような効果はあまり得られません。 例えば、運動時間が1日1時間程であれば、中高年~高齢者は筋力トレーニングを行ってみましょう。もし、90分以上できるならば、1時間が筋トレ、30分が有酸素運動、といったように2種類のトレーニングを複合し、実施することをお勧めします。
高血圧予備軍および高血圧患者におけるダイナミックレジスタンストレーニング(DRT)の血圧低下効果に関与する血行動態、自律神経、血管、ホルモン、局所機序を解明する。 知見:系統的検索により、17の実験グループを含む16の研究が同定され、高血圧前および/または高血圧患者集団における血圧メカニズムに対するDRT効果を評価した。これらの研究では、主に女性および中高年者を対象としている。 DRTの血管への影響は一貫して報告されており、血管コンダクタンス、流量媒介拡張、血管拡張能の増加がすべての研究で確認されている。一方、全身血行動態、自律神経調節、ホルモン、血管作動物質に対するDRTの効果に関する証拠はまだ少なく、論争があるため、結論を出すことは出来ない。 現在の文献を総合すると、DRTは血管の適応を促進し、血管コンダクタンスと内皮機能を改善する可能性があり、これは高血圧予備軍と高血圧患者におけるこの種のトレーニングの血圧低下効果に関与している可能性がある。DRTの血圧低下効果における他のメカニズムの役割を探るため、さらなる研究が必要となる。 参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34152491/