小学生・中学生・高校生の筋トレまとめ:成長期への影響と安全な進め方
はじめに: 成長期の子ども・学生が筋力トレーニング(筋トレ)を行うことについては、「身長が伸びなくなるのでは?」といった不安や、安全面への懸念を持つ保護者・指導者も多いでしょう。
しかし近年の研究や専門家の見解から、正しい方法で行えば筋トレは小学生から高校生までの若年層に多くのメリットをもたらすことがわかっています。本記事では、小学生・中学生・高校生それぞれの年代について、以下の4つの観点から筋トレの影響とポイントを解説します。
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1. 身長への影響: 筋トレは成長を妨げるのか?
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2. 安全性: 年齢に応じたリスクと注意点は?
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3. 効果的な筋トレ方法: 年齢や目的(スポーツパフォーマンス向上・身体づくり・ダイエット)別の取り組み方。
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4. 主なリスクと回避方法: 筋トレに伴う代表的なリスクとその防止策。
それでは各項目について、医学的・科学的エビデンスに基づきながら詳しく見ていきましょう。
身長への影響 – 筋トレで背は伸びなくなる?
まず最も気になる「筋トレをすると身長の伸びが止まるのではないか?」という点です。この懸念は成長板(骨端線)へのダメージが身長を止めるという仮説に基づいています。しかし、適切に指導・管理された筋力トレーニングが子どもの身長の伸びを阻害する科学的根拠はありません (Is it Safe for Children to Do Strength Training?) (Weight training in youth-growth, maturation, and safety: an evidence-based review - PubMed)。
例えば、筋トレを行った小中学生を対象とする実験的研究でも、対照群と比較して身長や体重の発育に有意な差は認められませんでした (Weight training in youth-growth, maturation, and safety: an evidence-based review - PubMed)。むしろ、正しい筋トレは骨に適度な刺激を与えて骨密度を高める効果が報告されており、結果として骨折リスクの低減など成長期の骨の健康に寄与する可能性があります (Does Lifting Weights Stunt Growth? What The Science Says)。
筋トレによる身長への悪影響が否定される一方で、成長板の損傷そのものは成長障害を引き起こし得ます。
これは筋トレ特有のリスクというより、「誤った方法で大きな衝撃や過負荷を骨端に与えた場合」のリスクです。
実際に報告されている成長板損傷の多くは、不適切なフォームや過度の重量、あるいは無謀な自宅トレーニングによる事故に起因しています 。
例えば、13歳の少年が自宅で約30kgのバーベルを一人で持ち上げようとして肘の成長板を骨折したケースがありました 。
しかしこれは極端な例であり、専門家の監督下で適切な重量設定・フォームで行われた筋トレでは、成長板の損傷は研究上1件も報告されていません。
さらに、跳んだり走ったりといった日常の遊びやスポーツで子どもが受ける衝撃の方が、正しく行われた筋トレで骨にかかる負荷よりも大きいことが多いとも指摘されています (Is it Safe for Children to Do Strength Training?)。つまり、筋トレ自体が身長の伸びを妨げる心配は過度にする必要はなく、それより無理なやり方をしないことが肝心と言えるでしょう。
安全性 – 年齢に応じたリスクと注意点
筋トレの効果を得るには安全に継続することが大前提です。ここでは小学生・中学生・高校生の年代別に、筋トレの安全性や注意点を整理します。総じて言えるのは、正しい方法で行われたジュニア年代の筋トレの傷害発生率は他のスポーツよりも低く、深刻な障害はまれだということです。
以下、年齢層ごとのポイントを見ていきます。
小学生(約6~12歳)の場合
(Is it Safe for Children to Do Strength Training?)図: 小学生の女児がレッグプレスの器具で筋力トレーニングをしている様子。 専門トレーナーの指導・監督のもと、子どもの体格に合った器具を使えば、このように小学生でも安全にウェイトトレーニングを行うことができます。小学生年代では正しいフォームの習得と安全管理が特に重要であり、重い重量を無理に扱う必要はありません。
小学生(学童期)の筋トレは、まず運動に慣れ親しみ、基本的な筋力や体の使い方を身につけることが目的になります。この年代では骨や関節がまだ未発達なため、筋肥大(筋肉を大きくすること)よりも神経系の発達によって筋力が向上する段階です 。
したがって、低~中強度の負荷で自重運動(腕立て伏せ・懸垂・スクワットなど)や遊び要素を取り入れたトレーニングが適しています。
重量物を使う場合でも、軽いダンベルやチューブ、メディシンボールなどを用いて、8~15回程度持ち上げられる軽い負荷でフォーム練習をするとよいでしょう。
大人向けのトレーニングマシンは子どもにはサイズが合わないことも多いため、図のように調整可能な器具や安全装置を活用します ( Strength training: OK for kids? - Mayo Clinic )。
また、必ず大人の監督下で行い、子どもだけで器具を扱わせないようにします。
小学生の場合、集中力が続かなかったり判断力が未熟だったりするため、事故防止のため常に目を離さず見守ることが大切です。
安全に配慮すれば、小学生からでも筋トレによる恩恵は得られます。例えば筋力が向上することでスポーツ時のケガ防止につながったり、運動への自信がついて自己肯定感が高まるといった心理的メリットも報告されています ( Weightlifting for Children and Adolescents: A Narrative Review - PMC )。
重要なのは、「無理のない範囲で楽しく体を動かす」ことを第一に、小学生期は筋トレ=筋肉を鍛える練習というより全身運動能力を高める遊びの延長くらいの感覚で取り組むことです。
中学生(約12~15歳)の場合
中学生(思春期前半)になると、第二次性徴期に入り始める時期であり、徐々に骨格や筋肉も発達してきます。
この年代では、小学生時代に比べてやや高い負荷の筋トレも可能になりますが、依然として成長期の真っただ中であることを念頭に置く必要があります。
特に男子はこの時期に急激な身長・体重増加(成長スパート)が起こるため、骨や腱に対する過度な負荷や、柔軟性低下による怪我に注意します。
関節や筋の付着部が未成熟なため、高重量での反復や長時間のトレーニングは避けるべきです。
基本はフォーム習得と筋持久力の向上を図りつつ、年齢に応じて徐々に負荷を上げていきます。目安としては1~2セット×10~15回反復できる重さから始め、技術が身につき筋力がついてきたら少しずつ重量を増やします ( Strength training: OK for kids? - Mayo Clinic ) 。
中学生は運動部活動などで筋トレを始めるケースも多いでしょう。この際、指導者のもとで正しいトレーニング法を教わることが重要です。
自己流や友達同士で競い合って無理に重いものを持ち上げると、腰痛や筋断裂などの怪我につながりかねません。
また、急に背が伸びてバランスを崩しやすい時期でもあるため、トレーニングでは体幹(腹筋・背筋)強化や柔軟性向上にも力を入れ、身体の安定性を高めます。
幸い、専門家のレビューによれば適切な技術指導と監督下で行われた筋トレでは、思春期前半の子どもでも筋力は十分向上し、怪我の報告も極めて少ないことが示されています (Weight training in youth-growth, maturation, and safety: an evidence-based review - PubMed)。
つまり中学生でも、正しく行えば筋トレの効果を享受でき、安全性も確保できるのです。
注意点として、中学生年代では「継続性」と「全身のバランス」がポイントです。
筋トレの効果(筋力・筋肥大向上など)は中断すると数週間で元に戻ってしまうため 、無理のない範囲で週2~3回程度コンスタントに続けることが望ましいでしょう。また、この頃から見た目を気にして鍛えたい部位だけを過度にトレーニングする子も出てきます。しかし特定の部位だけ鍛えると筋力バランスの偏りから姿勢不良や関節の痛みを招きかねません。身体全体をまんべんなく鍛えるメニューを意識し、脚・背中など大きな筋群を含めて強化するよう指導しましょう。
高校生(約15~18歳)の場合
高校生(思春期後半~終了期)になると、男女ともにほぼ成人に近い身体的能力を持つようになります。
骨端線(成長板)も遅い人でも高校卒業頃には閉鎖するため、筋力トレーニングの内容も大人に準じた本格的なものが可能です。
この年代では筋力そのものの向上に加え、筋肥大(筋肉量の増加)も顕著に起こるようになります (Strength Training by Children and Adolescents - American ...)。特に17~18歳にもなれば男性ではテストステロン分泌の高まりから筋肥大が加速し、女性でも筋力の向上に伴う一定の筋量増加が期待できます。
一方で、急激に扱える重量が増える分、オーバーワークやフォームの乱れによる怪我には引き続き注意が必要です。高校生になるとベンチプレスやスクワットで高重量に挑戦する場面も増えますが、骨の成熟が完了するまでは1回だけ挙上できるような最大重量(1RM)の持ち上げは推奨されません ( Strength Training in Children and Adolescents: Raising the Bar for Young Athletes? - PMC )。
重い重量に挑戦する場合でも補助者を付ける、パワーラックを使うなど安全対策を徹底し、特別な理由がない場合以外は無理な記録更新は避けます。実際、米国小児科学会(AAP)も青少年の筋トレでは継続的な最大挙上テストは行うべきではないとの立場を示しています ( Strength Training in Children and Adolescents: Raising the Bar for Young Athletes? - PMC )。
高校生は部活動や自主トレーニングで筋トレに励む人が多く、スポーツ競技力向上の手段やボディメイク(理想の体づくり)としての筋トレにも本格的に取り組める時期です。
筋力・パワーを伸ばすことで競技成績の向上が期待できますし、適切な筋肥大トレーニングによって体格を強化することも可能です。
しかしメリットが大きい反面、自己流トレーニングによる弊害にも注意しましょう。
高校生くらいになると大人と同様に自宅やジムで自由にトレーニングできる環境も出てきますが、基本的な原則(ウォーミングアップの励行、フォームの厳守、段階的な負荷漸増、十分な休養など)を怠ると怪我のリスクが高まります。
また、一部には「短期間で筋肉をつけたい」「体重を一気に落としたい」という思いから、無謀な減量や禁止薬物(アナボリックステロイド等)に手を出す例も報告されています ( Strength Training in Children and Adolescents: Raising the Bar for Young Athletes? - PMC )。
指導者や親はその危険性をしっかり教育する必要があります。高校生の筋トレは自主性に任される部分も増えますが、だからこそ正しい知識に基づいた自己管理が重要になると言えるでしょう。
効果的な筋トレ方法 – 年齢と目的別のポイント
筋トレの具体的な方法は、「どの年代か」および「何を目的に行うか」によって適切な内容が異なります。子どもから青年へと成長する過程で体の反応も変化し、またスポーツのパフォーマンス向上・身体づくり(筋力・筋量アップ)・ダイエット(体重・体脂肪の管理)ではトレーニングのアプローチや重視点が変わってきます。
たとえば思春期前の子どもは主に神経系の適応によって筋力が増しますが、思春期以降の高校生では筋肥大が本格的に起こることがわかっています (Strength Training by Children and Adolescents - American ...)。
こうした生理学的な違いを踏まえ、年齢・目的別に効果的な筋トレのポイントをまとめると次の表のようになります。
了解です!以下のように、各セルの内容を箇条書き形式で見やすく整理しました。読みやすさを重視して、各年代・目的ごとにコンパクトにまとめています。
✅ スポーツパフォーマンス向上
小学生(〜12歳)
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基本的な体の動きを習得する時期
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遊び感覚で全身を動かす
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自重運動(腕立て伏せ、スクワット など)
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敏捷性トレーニング(ラダー、鬼ごっこ等)
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運動神経と基礎体力を養う
中学生(13〜15歳)
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全身の筋力をバランスよく強化
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中程度の負荷で筋持久力をアップ
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プライオメトリクス(ジャンプ系トレーニング)で俊敏性・パワーを伸ばす
高校生(16〜18歳)
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競技特性に合わせた本格的トレーニング
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高強度のウェイトトレーニングを段階的に導入
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パワークリーンなどのパワー系リフトも取り入れる
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専門的なスキルアップを目指す
✅ ボディメイク(身体づくり)
小学生(〜12歳)
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筋肥大は目的にしない
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フォームの習得が中心
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体幹を含む全身の筋力アップを狙う
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自重や軽負荷で楽しく取り組む
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筋トレへのポジティブな経験を積む
中学生(13〜15歳)
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基礎筋力の向上を目指す
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徐々に負荷を上げてトレーニング
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筋肥大効果はまだ限定的
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栄養と休養を整えて筋肉の成長を促す
高校生(16〜18歳)
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筋肥大が本格化する時期
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8~12回反復できる重量で複数セット
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見た目を重視しがちだが、全身バランスよく鍛える
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特に脚・背中も忘れずに強化する
✅ ダイエット(体重・体脂肪管理)
小学生(〜12歳)
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食事制限より「運動習慣の形成」が優先
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遊びの中で体を動かすことを大事に
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筋トレは走る・跳ぶなどの基本動作を支える筋力向上に留める
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楽しさ重視で運動嫌いを防ぐ
中学生(13〜15歳)
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有酸素運動+筋トレを組み合わせる
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筋量を維持・向上して基礎代謝を上げる
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無理な減量は避ける
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数字(体重)より体脂肪率や見た目の変化に注目
高校生(16〜18歳)
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有酸素運動と筋トレを併用して脂肪燃焼を最大化
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筋トレによってリバウンドしにくい体に
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過度なカロリー制限はNG
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筋トレ+高タンパク質の食事で健康的に引き締める
上の表はあくまで一般的な目安ですが、成長段階に応じた目的別のトレーニング戦略が見えてきます。
例えば小学生のスポーツ向け筋トレでは「専門的な筋力強化」より「運動神経の発達」を重視する一方、高校生のスポーツ向け筋トレでは筋力そのものを競技力に直結させるトレーニングが増える、といった具合です。
またダイエット目的の場合、小中学生は食事より運動習慣・体質改善にフォーカスし、高校生になると筋トレ+有酸素で本格的な体脂肪減少を狙う方向にシフトします。いずれの目的でも「継続すること」「無理をしないこと」が効果を出す鍵です。
筋トレは短期間で劇的な変化が出るものではありませんが、週に数回の地道な積み重ねで確実に筋力・筋量が向上し、スポーツ能力や体型にも好影響が現れます。特に成長期は日々体が変化するので、無理なく続けることで1年後には大きな成長が感じられるでしょう。
最後に、各年代・目的に共通する筋トレの基本原則をまとめます。筋トレは「きついトレーニングをすればするほど良い」というものではありません。むしろ正しい手順で、安全に行うことが長期的な成長につながるのです。具体的には次章の「主なリスクと回避方法」で述べるポイントに留意し、ケガなく楽しく取り組んでいきましょう。
主なリスクとその回避方法
筋トレに伴うリスクとして考えられるものと、その防止策を押さえておきましょう。以下に代表的なリスクと回避方法を挙げます。
(Youth Resistance Training )図: 青少年に対するレジスタンストレーニングのガイドライン(NSCA提言の要約)。 若年者の筋トレでは、資格を持つ指導者の適切な指導・監督のもと、安全な環境で行うことが最重要とされています。
また、トレーニングセッションごとに5~10分の動的ウォームアップを実施し、十分に体を温めてから本番の筋トレに入ります 。
筋トレはまず軽い負荷から開始して正しいフォームを身につけるべきで、成長期には常にサブマキシマル(最大の力の80~90%程度)な強度で行うことが推奨されます ( Strength Training in Children and Adolescents: Raising the Bar for Young Athletes? - PMC )。
徐々に負荷や種目の難易度を上げていきますが、週あたりの頻度は非連日で2~3回程度に留め、十分な休息日を設けます。
トレーニング後はクールダウン(軽い有酸素運動やストレッチ)を行い、筋疲労の回復を促します 。
加えて、筋トレ効果を高め安全を確保するために、栄養バランスの良い食事・水分補給や十分な睡眠も欠かせません。
指導者や親からの励ましとサポートにより、子ども達の意欲も高まり安全意識も保たれるでしょう。以上のようなガイドラインに沿って進めれば、若年者の筋トレは安全かつ効果的に行うことができます。
では、具体的なリスクとその回避策を箇条書きで確認します。
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筋骨格系のケガ(捻挫・筋断裂・疲労骨折など): 誤ったフォームや過度な重量で行うと筋肉や腱、関節に負担がかかり、腰痛・肩や膝の障害などを引き起こす可能性があります。
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回避策: 常に正しいフォームで行い、痛みを感じたらすぐ中止すること。適切なウォームアップで筋肉を温め 、柔軟性を確保してからトレーニングします。特に成長期は関節や骨端への負荷を抑えるため、高すぎる重量設定は避けることが重要です(骨成熟前の1RM試行は禁止 )。
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また、偏った部位ばかり鍛えず全身をバランスよく強化して筋力のアンバランスを防ぐことで、関節への過度なストレスを避けケガ予防につながります。
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成長板への損傷: 前述のように、不適切なトレーニングにより骨の成長板を傷めてしまうと、その骨の成長が止まるリスクがあります。
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回避策: 絶対に一人で重い重量を扱わせないことです。必ず指導者や保護者が見守り、重量は慎重に設定します。特に肩や肘、膝などに過度の負荷がかかる種目(例: オーバーヘッドプレスや高重量のスクワット)は成長板にストレスを与えやすいので注意が必要です。
どうしても高重量を扱う場合は、ラックやスポッターを用いて万一の荷重から身体を守る体制を整えます。適切に管理された環境下では成長板損傷の心配は非常に少なくなります 。
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オーバートレーニング・過度の疲労: 真面目な子ほど毎日休まずトレーニングしたり、長時間やりすぎたりしてしまうことがあります。
しかし筋肉は休息中に成長・回復するため、休みなく鍛え続けると逆に筋力が低下したり、慢性的な疲労や怪我につながります。
回避策: 週2~3日程度の頻度に留め、同じ筋群を連日酷使しないようにします 。
少なくとも筋肉を48時間休ませる間隔を設けましょう。睡眠をしっかりとり、栄養補給(特にタンパク質とエネルギー)も十分に行います。
トレーニング中に著しい疲労や集中力の切れを感じたら切り上げる勇気も必要です。成長期に極端な低栄養状態になると、筋トレ以前にそれ自体が成長を阻害しかねないため、無理な減量や断食のようなことは避けます。
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心理的プレッシャー・モチベーション低下: 筋トレの成果を急ぐあまり、子どもに過度なプレッシャーを与えると精神的ストレスとなり、トレーニング嫌いになってしまう恐れがあります。また思春期の子どもは他者との比較で自信を喪失したり、逆に筋肉へのこだわり(ボディイメージの歪み)を強めてしまうリスクもあります。
回避策: 筋トレを楽しめる工夫をすることが大切です 。ゲーム性を持たせたり、達成度より取り組み姿勢を褒めたりして、ポジティブなフィードバックを与えましょう 。
記録の伸び悩みや停滞期があっても、焦らず長い目で見るよう指導します。また「もっと筋肉を」と思うあまり睡眠や勉強を削ったり、極端な食生活(プロテインの過剰摂取など)に走らないよう、生活全体のバランスをとるよう助言します。周囲の大人は子どもの心身の状態に目を配り、必要に応じて負荷調整や休養日を設けるなど柔軟に対応しましょう。
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禁止薬物やサプリメントの誤使用: 高校生年代になると、筋肉増強目的でアナボリックステロイドなどの禁止薬物に手を出すケースや、無認可のサプリメントを乱用するケースが心配されます。現に高校生の数%がステロイドを使用した経験があるとの報告もあります ( Strength Training in Children and Adolescents: Raising the Bar for Young Athletes? - PMC )。こうした行為は健康を害し、将来に重大な影響を及ぼします。
回避策: 学校や家庭でドーピングの危険性について教育し、決して手を出さないよう厳重に注意します 。筋肉をつける正攻法(トレーニングと栄養・休養)を理解させ、安易な近道に走らないよう指導します。プロテインなど市販サプリメントについても、摂りすぎや偏った摂取は逆効果になり得ること、基本は日々の食事で必要栄養を摂ることを教えましょう。
以上、成長期における筋トレのポイントを総合的にまとめました。適切に行われた筋トレは、小学生から高校生まで安全に実施可能であり、身長への悪影響もなく、多くのメリットをもたらします。
スポーツパフォーマンスの向上や健康的な体づくり、肥満予防に寄与するだけでなく、達成感や自己効力感を育み精神面の成長にもつながります 。
大切なのは、「その年代に合った正しい方法」で「無理なく楽しく継続する」ことです。成長期は一生に一度きりです。筋トレを通じて体を動かす楽しさを知り、健やかな発育とスポーツライフに役立てていただければ幸いです。
参考文献: 科学的エビデンスの詳細については、本文中の各所【】内に引用した文献やガイドライン(米国小児科学会、NSCAなど)を参照してください。筋トレに関する正しい知識を身につけ、安全で効果的なトレーニングを心がけましょう。