筋トレにおける昆虫食の活用状況
背景:筋トレと昆虫食が注目される理由
近年、食用昆虫(コオロギ、ミールワーム、バッタなど)は新たなタンパク源として注目を集めています。
筋肉の成長・維持に欠かせないタンパク質の供給源として、従来はホエイプロテイン(乳清)やカゼイン、大豆プロテインなどが主流でした。
しかし環境負荷や生産効率の観点から、これら従来タンパクの代替となる持続可能なプロテインが模索されており、その有力候補が昆虫タンパクです。
昆虫は飼料や水の消費が少なく、温室効果ガスの排出も少ないため、同量のタンパク質を生産するのにより環境に優れた手法とされています。
国連FAO(食糧農業機関)も、世界的なタンパク質不足(「タンパク質危機」)への対策として昆虫食を推奨しています。
栄養面でも、昆虫は高タンパクで必須アミノ酸をすべて含む「完全タンパク質」です。例えばコオロギは乾燥重量の約65~69%がタンパク質であり、鶏肉や牛肉など一般の肉類(約20~30%)を大きく上回ります。
さらにビタミンB12、鉄、亜鉛、カルシウムなどの微量栄養素も豊富に含み、100gのコオロギパウダーで1日の必要量の数倍のビタミンB12(23µg)や大量のヘム鉄(168mg)を摂取できるとの報告もあります。
このように昆虫は栄養価が高く、筋トレ目的のタンパク質補給源として理に適っています。
実際、近年の研究レビューでも「昆虫由来タンパク質のアミノ酸プロファイルや消化率は従来のタンパク源(ホエイやカゼインなど)に匹敵し、筋タンパク合成や運動後リカバリーにも有効である」と示唆されています。
加えて、昆虫特有の成分であるキチンや抗酸化ペプチドにより健康増進効果(抗酸化、抗菌作用など)が期待できる点も付加価値です。
一方で、昆虫食には心理的抵抗感やアレルギーなどの課題も存在します。文化的に虫食への抵抗が根強い地域では、食用昆虫を「気持ち悪い」と感じる人も多く、普及の妨げとなっています。
実際、筋トレ愛好者の中にも「興味はあるが味や見た目が心配」という声があり、受容には工夫が必要です。またエビやダニと昆虫は生物学的に近いため、甲殻類アレルギーの人は昆虫にもアレルギー反応を起こす可能性があります。
さらに、従来のホエイに比べ研究蓄積が少ないこと、国や地域によって食品規制が異なることも市場拡大のハードルです。
こうした課題を踏まえつつも、環境・栄養両面のメリットから**「筋トレ界の次世代タンパク源」として昆虫食への期待は高まっています。
筋トレ用途で利用される主な食用昆虫と特徴
筋トレ目的で利用される昆虫としては、主に以下の種類が挙げられます。それぞれ高タンパクで栄養価が高い一方、飼育・加工のしやすさなどから利用状況に差があります。
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コオロギ(クリケット)
筋トレ用途で最も一般的な昆虫です。乾燥コオロギは約65~70%がタンパク質で、必須アミノ酸をすべて含む優秀なタンパク源です。
またビタミンB12や鉄・亜鉛・カルシウムなど不足しがちな栄養素も豊富で。
コオロギは飼育が容易で成長サイクルが短く、繁殖効率が高いことから食用昆虫として世界的に注目されています。
欧州ではヨーロッパイエコオロギ(Acheta domesticus)やフタホシコオロギ(Gryllus bimaculatus)、東南アジア原産のフタゲチョウチョウコオロギ(Gryllodes sigillatus)などが商業生産されており、日本国内でも徳島大学発ベンチャーのグリラス社などが国産コオロギの大量養殖を行っています。
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ミールワーム(mealworm、甲虫類の幼虫)
黄色いミールワーム幼虫(Tenebrio molitor)は欧州でノベルフード(新規食品)承認された昆虫で、高タンパク・高脂肪です。
乾燥ミールワームはタンパク質含有量50~60%、脂質20~30%と報告されており、そのままでは脂肪が多いものの、タンパク質含有量は大豆や肉類に匹敵します。
ミールワーム由来のプロテインアイソレート(分離タンパク質)も研究されており、摂取後の血中アミノ酸上昇パターンはホエイより緩やかなものの大豆プロテインと同程度に必須アミノ酸を供給できると報告されています。
ミールワームはコオロギほど製品数は多くありませんが、プロテインバーやパウダーの原料に用いられる例があります。
またペットフードや家畜飼料用途でも重宝されており、その実績から人用サプリメントへの応用研究が進んでいます。
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バッタ・イナゴ類(Locust/Grasshopper)
バッタやイナゴも伝統的に食用とされ、高タンパクな昆虫です。
例えばトノサマバッタ(Locusta migratoria)はEUで新規食品承認されており、乾燥バッタは概ね60~70%がタンパク質とされます(品種や餌によって変動)。
日本でもイナゴの佃煮など食習慣がありますが、プロテインサプリとしての利用はまだ限定的です。
ただしバッタ粉末を練り込んだパスタやスナック製品が欧州では登場しており、今後スポーツ栄養分野にも応用される可能性があります。
バッタ類は跳躍筋が発達しているためか味に癖が少なく香ばしいとも言われ、心理的抵抗が低ければ有望なタンパク源です。注意点として、バッタ・イナゴでも甲殻類アレルギーとの交差反応例が報告されています。
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その他の昆虫
上記以外にも、シルクワーム(蚕のさなぎ)は東アジアで古くから食用とされタンパク質が豊富(乾燥さなぎで50%以上)です。
韓国では絹蛹(ポンテギ)を茹でた食品がありますが、筋トレ用途サプリとしては一般的ではありません。
またハチの子(蜂の幼虫)も高タンパク食材ですが、入手性の問題から限定的です。最近ではゴキブリ由来プロテイン(デュビアローチなど)を研究する例もありますが、人間向け食品としてはごく少数です。
筋トレ界隈で実際に市販されているサプリや食品を見る限り、主役はやはりコオロギとミールワームであり、それ以外の昆虫は地域の伝統食や実験的な製品に留まっています。
昆虫由来プロテイン製品の例と栄養成分
筋トレ用途に市販されている昆虫食製品は、プロテインパウダー、プロテインバー、さらにはパスタやスナック菓子に至るまで多岐にわたります。以下に主な製品例とその栄養特徴を示します。
欧州発の昆虫プロテインブランド「Sens」が展開する各種商品(プロテインバー等)。左のSerious Protein Barは1本で20gのタンパク質を含有し、ハイプロテイン志向のトレーニー向けに設計されている。
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C. TRIA プロテインバー(日本・グリラス社)
国産コオロギ粉末を使用したバータイプ補助食品。乳由来タンパクを使わず1本(37g)で15.6gものタンパク質が摂取可能です。
加えてビオチン11.7µg、葉酸30µg、鉄3.46mg、亜鉛1.17mgなどコオロギ由来のビタミン・ミネラルを含み、運動後の栄養補給のみならず日常の栄養バランス改善にも役立つよう設計されています。ファミリーマート(コンビニ)でも期間限定販売されるなど、一般トレーニーにも手に取りやすい商品です。
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BugMo クリケットバー(日本・BugMo)
国産スタートアップが開発したコオロギ使用のプロテインバー。1本あたりコオロギ約50匹分を使用し、タンパク質10g含有とされています。
パッケージにも「必須アミノ酸9種」「BCAA配合」「オメガ3(1/2日分)」と記載され、栄養バランスの良さを強調しています。
チョコ味や抹茶味が展開され、口コミでは「昆虫と知らなければ普通に食べられる味」との声もある一方、「コオロギと聞くと心理的に抵抗が…」という反応もあり、受容には工夫が必要です。
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Sens Serious Protein Bar(チェコ/EU)
ヨーロッパ発のクリケットプロテインブランド「Sens」による高タンパク質バー。1本で20gの良質なたんぱく質が摂取でき、筋トレやボディメイクに最適とされています。
フレーバーは「ビターココア&ごま」「ピーナッツバター&シナモン」の2種で、いずれも砂糖不使用で低糖質。Sens社は世界的トップクライマーのアダム・オンドラ氏が品質を認め推奨していることでも知られ、欧州のアスリートにも徐々に受け入れられています。
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Sens Protein Powder(チェコ/EU)
上記Sens社によるクリケットプロテインパウダー(チョコレート味)。粉末中タンパク質含有率は70%に達し、ホエイプロテインなど動物性プロテインと遜色ないレベルです。
グルテンフリー・ソイフリーで、牛乳由来のホエイが合わない人やヴィーガン(菜食主義※昆虫をヴィーガンが許容するかは議論がありますが)にとって代替になり得ます。アミノ酸スコアも高く、運動後のプロテインシェイクとして利用されています。
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その他の製品
上記の他にも、コオロギ粉を練り込んだ「プロテインパスタ」(Sens社製、タンパク質含有率30%)や、「プロテインチップス」(Sens社製、1袋に20gタンパク質含有)などユニークな商品があります。
カナダのNäak社はコオロギベースのエナジーバーを展開し、持久系アスリートに人気です(1本あたりタンパク質7g程度ながらビタミン・オメガ3豊富)。
米国ではExo社(現在はAspire社傘下)がクリケットパウダーやプロテインバーを販売し、ミシュランシェフ監修の美味しさで注目されました。
日本国内でもINNOCECT社やTAKEO社などからクリケットプロテイン配合の商品が発売されており、楽天市場やAmazonで購入可能です。
以下の表に、いくつかの代表的製品の栄養情報をまとめます(タンパク質含有量は目安):
| 製品名(メーカー・国) | 主原料 | 形態 | タンパク質含有量 (*1) | 特徴・備考 |
|---|---|---|---|---|
| C. TRIA プロテインバー(グリラス・日) | コオロギ粉末 | バー(37g) | 15.6g/本 | 乳由来プロテイン不使用。ビタミンB群・鉄豊富。 |
| BugMo クリケットバー(BugMo・日) | コオロギ粉末 | バー(50g前後) | 10g/本 | コオロギ50匹分使用。抹茶味・チョコ味あり。 |
| Sens Serious Protein Bar(Sens社・EU) | コオロギ粉末 | バー(60g前後) | 20g/本 | 欧州製高タンパクバー。トップアスリート推薦。 |
| Sens Protein Powder(Sens社・EU) | コオロギ粉末 | 粉末(シェイク) | 約70%(タンパク割合) | チョコ味パウダー。グルテンフリー。 |
| Sens Protein Pasta(Sens社・EU) | コオロギ粉末他 | パスタ | 30%(タンパク割合) | レンズ豆ベースのグルテンフリーパスタ。 |
| Näak エナジーバー(Näak社・カナダ) | コオロギ粉末 | バー(50g) | 7g/本 | 持久系向けエナジーバー。BCAAやオメガ3含有。 |
| Exo プロテインパウダー(Aspire社・米) | コオロギ粉末 | 粉末 | 約65%(推定) | Pure Acheta Powderなどを販売。 |
(*1) 各製品の公式情報や報道に基づくおおよその値。実際の含有量はフレーバー等で若干異なる場合があります。
上記のように、コオロギやミールワームを使った製品では1食分で10~20g程度のタンパク質が摂取できるものが多く、ホエイプロテインの一食分(20g前後)に匹敵します。
特にSens社のプロテインバーやパウダーは高タンパク設計で、本格的に筋肥大を目指すトレーニー向けです。
一方で、Näak社のバーのように持久系アスリート向けに炭水化物中心でタンパク質は補助的(7g程度)な商品もあります。目的に応じて使い分けられるほど、ラインナップが拡充しつつあると言えるでしょう。
また、栄養素面では昆虫由来製品は単なるタンパク質補給以上のメリットを謳うものが多い点も特徴です。
例えば「鉄分はほうれん草の2倍」「カルシウムは牛乳の1.6倍」「オメガ3脂肪酸が豊富」といったうたい文句が各社から発信されています。
こうした付加価値は、筋トレ愛好者だけでなく健康志向の一般層にもアピールできるポイントです。
最新の研究・エビデンス紹介

筋トレ界で昆虫食が現実的な選択肢となりつつあることを裏付ける最新の研究結果やエビデンスをいくつか紹介します。
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タンパク質の質・消化吸収に関する研究
2018年の研究では、昆虫(ミールワーム由来プロテイン分離物)、ホエイ、ソイ(大豆)各プロテインを健常者に摂取させ、血中アミノ酸濃度を比較しました。
その結果、ホエイと大豆では摂取60分後に必須アミノ酸(EAA)やロイシン濃度がピークに達したのに対し、昆虫プロテインでは120分後にピークに達しました。
ピーク到達は遅いものの、昆虫プロテイン摂取による総アミノ酸供給量は大豆プロテインと同等であり、ホエイほど速やかではないものの効果的にアミノ酸が吸収されることが示されました。
消化速度が緩やかな分、満腹感の持続や血糖値安定に寄与する可能性も指摘されています。
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栄養価・成分比較研究(2023年)
2023年に発表された研究では、フタホシコオロギ(Gryllodes sigillatus)の全粉、脱脂粉、タンパク質濃縮物の栄養価がホエイプロテイン濃縮物やカゼインと比較されました。
その結果、コオロギ脱脂粉はタンパク質含有率73.7%と商用プロテイン(ホエイ75%等)に匹敵し、カロリー当たりタンパク量で見ても遜色ありませんでした。
全粉(脂質含有17.5%)ではタンパク質65.1%でしたが、脱脂することでタンパク質比率が向上しています。
また昆虫粉は鉄・亜鉛などミネラルが市販プロテインより多く含まれ、例えば脱脂コオロギ粉はホエイより2倍以上のカリウムを含有するなど微量栄養素面で優れる点が確認されました。
アミノ酸組成では、コオロギタンパク質の必須アミノ酸スコア(EAAI)はホエイやカゼインよりやや低いものの(それでも100を超える食品もあり)、分離タンパク質ではアミノ酸バランスが商用サプリに近づくことも示されています。
総じて、昆虫タンパク質は従来の動物性・植物性プロテインと同等レベルの栄養価を持ち得るとの科学的知見が蓄積されています。
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アスリートによる嗜好性・受容性の研究
2021年の研究では、イタリアのプロ競技選手を対象にコオロギ粉入りプロテインバーに対する受容度を調査しました。
その結果、試食の動機として「高タンパク含有」が最大の推進要因となり、加えて「珍しさ(食感への好奇心)」も興味を引くポイントでした。
男性選手の方が女性よりも抵抗感が少なく、また事前に昆虫食の利点に関する情報提供を行った場合、試食意欲が有意に向上することが示されました。
このように、タンパク補給手段としての有用性を理解すればアスリートも昆虫食を前向きに捉える傾向があると言えます。
さらに別の官能評価研究では、プロテインシェイクにミールワーム粉を混ぜた際の味の許容濃度を調べ、事前に「健康に良い」「持続可能」といったフレーミング情報を与えたグループでは、与えないグループに比べて高濃度の昆虫混入でも拒否反応が出にくいことが報告されています。
この結果は、ポジティブな文脈での情報提供が消費者の心理的抵抗を和らげる効果を示唆しています。
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市場と消費意向に関する研究
2023年のヘリヨン(Heliyon)誌の研究では、フィットネス愛好者が「フィットネス用プロテインの代替」として昆虫食を購入する意思に影響を与える要因を調査しました。
その結果、味や安全性もさることながら、「知覚される価値(栄養価や環境価値)」が購買意向に最も重要な影響を与えることが示されました。
つまり、昆虫プロテイン製品に十分な価値(高タンパクで体によい、地球環境にもよい等)を感じられれば、フィットネス層は購入を前向きに検討するということです。
また市場に実際に昆虫プロテイン商品が登場することで選択肢が増え、消費者の受容も進むと考えられています。
以上のように、科学的エビデンスは徐々に「昆虫タンパク質=有用で実用的なもの」と裏付けつつあります。
まだ研究数は限られますが、初期の結果は概ね好意的であり、筋タンパク合成や栄養補給源として十分機能し得ること、そしてアスリートの受容も工夫次第で高められることが示唆されています。
筋トレ界での評価・受容状況と課題
筋トレコミュニティにおける昆虫食の評価は、一言でいえば「興味と期待は高いが、本格的な普及はこれから」という段階です。
環境に優しい高品質プロテインとして一部では熱い注目を集め、実際に愛用するアスリートやトレーニーも現れ始めていますが、多くの人にとってはいまだ珍しく、賛否が分かれています。
海外の状況
海外では先述の通り欧米を中心に昆虫プロテインバーやパウダーが市販され、一部のトップアスリートが採用・推奨しています。
例えばチェコのクライマー、アダム・オンドラ氏はクリケットプロテインブランド「Sens」の愛用者であり「味も栄養価も申し分なく、エコな選択肢だ」とコメントしています。
カナダのNäak社製バーはトライアスリートや超マラソンランナーがレース中の栄養補給に活用しており、「人工的な成分がなく自然でパフォーマンスを支えてくれる」と好評です。
このように競技アスリートの間でも受け入れられ始めている例が出てきています。
一方、一般のトレーニーやボディビルダー層での受容はまだ限定的です。
サプリメント市場では依然としてホエイやヴィーガンプロテイン(エンドウ豆由来など)の人気が高く、昆虫プロテインは「興味はあるが試したことはない」という人が多数派です。
背景には心理的ハードル(昆虫への嫌悪感)があり、Redditなどネット掲示板でも「栄養的には良さそうだけど味が不安」「粉末にしたといっても虫だと思うと…」といった声や、「クッキーに cricket flour 入れてみたらひどい味だった」といった体験談も見られます。
もっとも、「実際に飲んでみたらナッツ風味で全然問題なかった」「ホエイでお腹を壊す自分にはむしろ合っている」というポジティブな意見もあり、試した人からは概ね「思ったほど悪くない」という評価が多いようです。
味や食感の改良が進み、「知らなければ昆虫と気付かない」レベルの製品も増えていることから、今後こうしたハードルは下がっていくと期待されます。
また価格面や供給面の課題もあります。
昆虫プロテイン製品は現状ではホエイなどに比べ価格が割高な傾向があります。生産規模が小さくコスト高であること、また安全性試験や法規制対応にコストがかかることが一因です。
例えば日本のコオロギバーは1本あたり200~500円程度と、市販の一般的プロテインバー(200円以下が多い)より高価です。
プロテインパウダーも同様で、価格競争力をいかに高めるかが普及の鍵となります。
また食用昆虫は原料の安定供給や品質管理も重要です。養殖環境によって栄養価が変動することが知られており、安定した高プロテイン含有の昆虫を大量生産する技術開発も課題です。
例えばコオロギのエサを工夫することでタンパク質含有量を高めたり脂質を抑えたりする試みも行われています。
日本国内の状況
日本でも、ここ数年で昆虫食への注目が高まりつつあります。
先述のグリラス社はコンビニ展開を果たし、多くのメディアで「次世代プロテイン」として紹介されています。
とはいえ競技アスリートで公言して昆虫プロテインを利用している例はまだ少なく、一般トレーニーへの浸透もこれからです。
日本は食用昆虫の文化が一部地域に限られていたこともあり、欧州に比べると心理的抵抗はやや強い面があります。
しかしZ世代を中心にSDGsやサステナブル食品への関心が高まっており、「体にも環境にも優しいプロテイン」として若年層の関心はむしろ高いとの調査もあります。
今後、日本人アスリートの中から昆虫プロテインのアンバサダー的存在が出てくれば、一気に市民権を得る可能性もあるでしょう。
さらに、日本では2023年に食品衛生法の改正でコオロギなど特定昆虫種の食品利用が明確化される動きもあり(※2024年3月時点でコオロギ粉の食品としての使用に厚労省通知が出ています)、法的な受け入れ基盤も整いつつあります。
食品としての安全性審査や表示ルールが確立されれば、消費者も安心して手に取れるようになると期待されます。
まとめ:筋トレ界での展望
総合すると、昆虫食の筋トレ界での活用は黎明期にあり、課題はあるものの将来有望な領域です。栄養学的には十分に理にかなっており、環境メリットもあることから、今後プロテイン市場の一角を占める可能性があります。
プロテインサプリの多様化という観点では、「ホエイ一強」だった市場に昆虫由来という新風を吹き込む存在であり、消費者にとっても選択肢が広がることになります。
特に乳糖不耐症でホエイが合わない人や、植物性では物足りないと感じる人にとって、昆虫プロテインは動物性と植物性の長所を兼ね備えた折衷案になり得ます。
もっとも、広く一般に受け入れられるには**「おいしさ」「安心感」「価格」という永遠のテーマをクリアする必要があります。
幸い研究と商品開発の両面で前向きな動きがあり、味の改良やアレルゲン対策(例えば甲殻類アレルギー表示の徹底)、大量生産によるコスト低減などが進めば、筋トレ愛好者が日常的に昆虫プロテインを利用する日も遠くないでしょう。
最後に、筋トレ界の受容に関して象徴的なのは「結局、タンパク質含有量と効果がしっかりしていれば、トレーニーは中身が昆虫でも合理的に受け入れる」という点です。
高タンパクで成果が出るとわかれば、プロテイン源が昆虫かどうかは二次的な問題になる可能性があります。
実際、海外の調査では「環境や栄養的メリットの情報提供次第で抵抗感はかなり減少する」ことが示唆されています。
筋トレ界は栄養科学に基づく合理性を重んじる側面も強いですから、科学的エビデンスの蓄積とともに、昆虫プロテインへの評価も今後ますます高まっていくと考えられます。
参考文献・情報源
本調査レポートは最新の学術論文pmc.ncbi.nlm.nih.govや食品企業の公表資料foodtech-japan.comfuturenaut.co.jp、ニュース記事rocketnews24.com等に基づいて作成しました。
筋トレ用途における昆虫食の現状を総合的に整理するため、国内外の事例と研究を幅広く参照しています。






