ボトックスは筋トレに影響する?筋力・筋肥大・スポーツパフォーマンスへの影響を最新研究から徹底解説

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2026.08.06

筋トレ

ボトックスは筋トレに影響する?筋力・筋肥大・スポーツパフォーマンスへの影響を最新研究から徹底解説

ボトックスは筋トレに影響する?筋力・筋肥大・スポーツパフォーマンスへの影響を最新研究から徹底解説

ボトックスは筋トレに影響する?筋力・筋肥大・スポーツパフォーマンスへの影響を最新研究から徹底解説

ボトックスを打つと筋トレはできなくなる?

「美容目的でボトックスを受けたいけれど、筋トレへの影響はあるの?」

近年、このような疑問を持つ方が増えています。

美容医療が身近になり、額や眉間、エラ(咬筋)、肩(僧帽筋)へのボトックス注射を受ける人が増える一方で、筋トレやスポーツを習慣としている方からは、

  • ベンチプレスの重量は落ちる?
  • 筋肥大しにくくなる?
  • ボディメイクに悪影響はある?
  • ボトックス後はいつから筋トレを再開できる?

といった質問を受けることも少なくありません。

結論からお伝えすると、

ボトックスは注射した筋肉の働きを弱める薬です。

つまり、

筋トレで使う筋肉へ注射すれば、その筋肉の筋力や筋肥大には影響する可能性があります。

しかし一方で、

美容目的の額や眉間への少量注射で全身の筋力が落ちることを示した研究は現在ありません。

重要なのは、

「影響がある筋肉」と
「ほとんど影響しない筋肉」を区別することです。

この記事では最新の研究をもとに、

  • ボトックスが筋肉へ及ぼす影響
  • 筋力・筋肥大への影響
  • スポーツパフォーマンスへの影響
  • 部位別のリスク
  • トレーニング再開の目安

について詳しく解説します。内容は、ユーザー提供の調査資料をもとに整理しています。


ボトックスとは?

ボトックスとは、ボツリヌス毒素A型(Botulinum toxin type A:BoNT-A)を有効成分とする医薬品です。

「毒素」と聞くと危険な印象を受けるかもしれませんが、医療現場では極めて少量を局所に注射することで、安全性を確保しながら利用されています。

現在では、

  • 美容医療
  • 多汗症
  • 眼瞼けいれん
  • 顔面けいれん
  • 痙縮
  • ジストニア

など、さまざまな疾患の治療にも使用されています。


ボトックスはなぜ筋肉を弱くするのか?

筋肉は脳から送られる電気信号によって動きます。

その情報を筋肉へ伝えている物質がアセチルコリンです。

ボトックスは、神経終末でこのアセチルコリンの放出を阻害します。

つまり、



神経

アセチルコリン

筋肉

という流れを途中で止めてしまいます。

結果として、

  • 筋収縮が弱くなる
  • 筋活動量が減る
  • 力が入りにくくなる

という状態になります。

これは副作用ではなく、ボトックス本来の作用そのものです。


ボトックスは筋トレにどんな影響を与える?

筋トレでは、筋肉へ十分な力を発揮させ、大きな張力を発生させることが重要です。

ところがボトックスを注射すると、その筋肉は十分な収縮ができなくなります。

その結果、

  • 最大筋力の低下
  • パワー発揮の低下
  • トレーニング重量の低下
  • 筋肥大刺激の減少

につながる可能性があります。

つまり、筋トレへの影響は「筋肉そのものを弱くする」ことで起こります。


実際の研究ではどうだったのか?

健康成人を対象とした代表的な研究では、足の小さな筋肉(短趾伸筋)へボトックスを注射したところ、

  • 最大筋活動が約85〜90%低下
  • 効果のピークは約6日後

という結果が報告されています。

これは「ボトックスが健康な人でも筋肉を弱くする」ことを示した重要な研究です。

ただし、この研究は小さな筋肉で行われており、その結果を

  • 大腿四頭筋
  • 大胸筋
  • 広背筋
  • 僧帽筋

へそのまま当てはめることはできません。


「筋力低下しない」という研究もあるのはなぜ?

2024年に発表されたシステマティックレビューでは、54本の研究が解析されました。

一見すると、約74%の研究では有意な筋力低下が認められませんでした。

しかし、ここだけを切り取るのは危険です。

その理由は、研究対象の多くが

  • 脳卒中患者
  • 脳性麻痺
  • 脊髄損傷
  • 痙縮患者

だったためです。

これらの患者では、ボトックスによって異常に強い筋緊張が改善され、結果として歩きやすくなる、動きやすくなる、というケースがあります。

つまり、

「動作が改善した」

ことと

「筋力が維持された」

ことは別問題なのです。

さらに、多くの研究では競技者が必要とするような精密な筋力測定ではなく、手動筋力テスト(MRC)など感度の低い方法が用いられていました。

そのため、筋トレで重要となる数%程度の筋力低下は見逃されている可能性も指摘されています。


美容目的のボトックスなら安心?

ここが最も多い質問です。

例えば、

  • 眉間
  • 目尻

への美容目的ボトックスでは、スクワットやベンチプレスなどの全身パフォーマンスが低下したことを示す直接的研究は現在ありません。

しかし、これは「影響がない」と証明されたわけではありません。

健康なトレーニーを対象に

  • 1RM
  • 筋肥大
  • バーベル速度
  • パワー

を測定した研究がほぼ存在しないためです。

つまり現時点で言えることは、

「顔面への少量ボトックスで全身筋力が低下する証拠はない。しかし安全性が十分証明されたわけでもない。」

 

というのが、最も科学的に正確な結論です。

筋肥大への影響はあるのか?

筋トレをする人が最も気になるのが、「ボトックスを打つと筋肉は小さくなるの?」

という疑問でしょう。

現時点で最も重要なポイントは、

健康なトレーニーを対象に「筋肥大」を直接調べた研究はほとんど存在しない

ということです。

つまり、

「筋肥大する」
「筋肥大しない」

どちらも断言できるデータはありません。


それでも筋肥大が低下すると考えられる理由

筋肥大には、

  • 十分な筋収縮
  • 高い機械的張力
  • トレーニングボリューム

が必要です。

しかしボトックスは、筋肉そのものの収縮能力を低下させます。

すると、当然ながら

  • 扱える重量
  • 発揮できる筋力
  • トレーニング刺激

も小さくなります。

そのため、注射した筋肉では筋肥大刺激そのものが減少するという考え方は、生理学的に非常に合理的です。


実際に筋肉は小さくなるのか?

人を対象とした研究では、脳性麻痺児の腓腹筋へボトックスを注射したところ、筋体積は

  • 4週間:約6%減少
  • 13週間:約9%減少
  • 25週間:約7%減少

していました。

もちろん、これは健康な成人ではなく、成長期の脳性麻痺児です。

そのため、この数値をそのままボディビルダーへ当てはめることはできません。

しかし、ボトックスによる筋活動低下が数か月にわたり筋量へ影響する可能性を示した重要な研究です。


エラボトックス(咬筋)はどうなる?

美容目的で非常に多いのが、エラボトックス(咬筋注射)です。

複数の研究では、咬筋へボトックスを注射すると、

  • 咬筋の筋厚低下
  • 咬合力低下
  • 筋電図活動低下
  • 咀嚼能力低下

が報告されています。

さらに、反復して注射すると、筋厚や筋機能の回復が遅くなる可能性も示されています。

つまり、エラボトックスは「筋肉を細くする」という美容目的どおりの作用を示すことが、人を対象とした研究でも確認されています。


ボディビルダーは注意すべき?

例えば、減量中にエラボトックスを受けた場合、スクワットやベンチプレスへの直接的な影響は、現時点では分かっていません。

しかし、咬筋は

  • 歯を食いしばる
  • バルサルバ法
  • 高重量保持

など、高重量トレーニングでは重要な役割を担っています。

現在、咬筋ボトックス後にBIG3の重量がどう変化するかを調べた研究は存在しません。

したがって、競技レベルで高重量を扱う方は、試合直前の施術は慎重に判断した方が良いでしょう。

これは研究データではなく、生理学的な考察です。


スポーツパフォーマンスへの影響

ここも研究数は非常に少なく、ほとんどが症例報告です。


エリートアスリートの症例

機能性膝窩動脈捕捉症候群のエリート選手では、腓腹筋周囲へボトックスを注射した結果、1週間後

  • ジャンプ能力低下
  • 足関節筋力低下

が認められました。

しかし、4週間後にはほぼ回復しています。

これは「競技で使う筋肉へ注射すれば、一時的にパフォーマンスは低下する」可能性を示した症例です。


ランナーではどうだった?

慢性コンパートメント症候群では、16例中15例で痛みは改善しました。

しかし、11例では筋力低下が認められました。

つまり、治療としては成功しても筋力とのトレードオフが生じるケースがあるということです。


美容ボトックスなら問題ない?

ここは非常に重要です。

例えば、

  • 眉間
  • 目尻

などへの美容注射では、

  • スクワット
  • ベンチプレス
  • デッドリフト

などの競技パフォーマンス低下を示した研究は確認されていません。

つまり、現時点では

美容目的の顔面ボトックスだけで筋トレ能力が大きく落ちるとは言えない

というのが科学的な結論になります。

一方で、「全く影響がない」ことを証明した研究もありません。


注射部位で影響は大きく変わる

筋トレへの影響は、

どこへ打つか

が最も重要です。

① 額・眉間

影響はほぼ表情筋のみ。

BIG3への影響を示す研究はありません。


② エラ(咬筋)

咬合力は低下します。

高重量トレーニングでは、歯を食いしばる力が低下する可能性があります。


③ 僧帽筋

近年人気の肩ボトックスでは注意が必要です。

僧帽筋は、

  • デッドリフト
  • シュラッグ
  • ファーマーズウォーク
  • オーバーヘッドプレス

などで重要な筋肉です。

そのため、これらの種目では重量低下や安定性低下が起こる可能性があります。


④ 上腕二頭筋

  • 懸垂
  • ラットプルダウン
  • ローイング
  • アームカール

などへ影響します。

握力低下にもつながる可能性があります。


⑤ 大腿四頭筋

  • スクワット
  • レッグプレス
  • ランニング
  • ジャンプ

など、ほぼ全ての下半身トレーニングへ影響します。


⑥ 腓腹筋

  • カーフレイズ
  • ダッシュ
  • ジャンプ
  • 方向転換

などの能力低下が考えられます。


パーソナルトレーナーが知っておきたいポイント

クライアントがボトックスを受けた場合、最初に確認したいのは

「どこへ打ったのか」

です。

例えば、額だけなら、通常の筋トレへ大きく影響しない可能性があります。

一方、

  • 僧帽筋
  • 大腿四頭筋
  • 上腕二頭筋

などなら、トレーニング内容を調整する必要があります。

また、競技選手では試合前や大会前の施術は慎重に判断することが望ましいでしょう。

 

ボトックス後はいつから筋トレを再開できる?

これは最も多い質問ですが、実は現在、

「○日後なら安全」という科学的根拠は存在しません。

SNSでは

  • 24時間休む
  • 48時間休む
  • 1週間休む

など様々な情報があります。

しかし、健康な筋トレ実践者を対象に、運動再開時期を比較した研究はありません。


なぜ一律の基準がないのか?

ボトックスの作用は

  • 注射した筋肉
  • 注射量
  • 筋肉の大きさ
  • 注射方法
  • 個人差

によって大きく変わります。

例えば額への美容注射と大腿四頭筋への治療注射では、影響が全く異なります。

つまり、「全員が〇日休めば大丈夫」とは言えないのです。


筋力低下はいつピークになる?

現在の研究では、最も筋力低下が起こりやすい時期は注射後1〜2週間と考えられています。

健康成人では約6日後に最大効果。

患者研究でも約2週間前後で筋力低下がピークとなるケースが報告されています。

つまり、筋トレへの影響が最も出やすいのは施術直後ではなく、数日〜2週間後である可能性があります。


回復にはどれくらいかかる?

一般的な美容効果は約3か月程度と説明されることが多いですが、これは「シワ改善効果」の話です。

筋肉の回復とは必ずしも一致しません。

研究では、

  • 数週間で改善する人
  • 数か月かかる人
  • 反復注射でさらに長引く人

など、かなり個人差があります。


ボディメイク中の人はどう考えるべき?

ボディメイクでは筋肉へ十分な刺激を入れることが重要です。

そのため、もし

  • 僧帽筋
  • 大腿四頭筋
  • ハムストリングス
  • 上腕二頭筋
  • 腓腹筋

などへ注射した場合は、一時的にトレーニングボリュームが低下する可能性があります。

つまり、筋肥大効率も落ちる可能性があります。

ただし、健康なトレーニーで直接証明された研究はありません。

ここは現時点では生理学的推測になります。


パーソナルトレーナー向け実践ガイド

クライアントが

「昨日ボトックスを打ちました」

と言った場合、まず確認したいことがあります。


①どこへ注射したか?

これが最重要です。

例えば額だけなら、通常のトレーニングへの影響は小さい可能性があります。

しかし、僧帽筋なら肩の安定性が低下する可能性があります。


②何の目的だったか?

美容なのか痙縮治療なのかスポーツ障害なのかで、使用量も大きく異なります。


③左右どちらに注射した?

片側だけなら左右差が出る可能性があります。

デッドリフトやスクワットではフォームが崩れないか確認しましょう。


④普段と同じ重量が扱えるか?

最初から1RMへ挑戦するのではなく、ウォームアップで

  • 違和感
  • 脱力感
  • 左右差

を確認することが重要です。


⑤フォームを優先する

無理に重量を追うよりも、フォームが維持できる重量で行う方が安全です。


競技者が注意したいこと

競技者では数%の筋力低下でも記録へ影響します。

例えば

  • パワーリフティング
  • ウエイトリフティング
  • ボディビル
  • フィジーク
  • クロスフィット

では、高重量や高い筋出力が求められます。

競技で使う筋肉へボトックスを注射する場合は、大会日程も考慮し、主治医や施術者と相談しながら計画することが重要です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 額ボトックスでベンチプレスは弱くなる?

現時点では、直接的な研究はありません。

少量の美容注射だけで全身筋力が低下したという証拠もありません。


Q2. エラボトックスは筋トレへ影響する?

咬筋の筋力低下は報告されています。

高重量で強く歯を食いしばる競技では影響が出る可能性がありますが、直接研究はありません。


Q3. 肩ボトックスは?

僧帽筋は肩甲骨を安定させる重要な筋肉です。

デッドリフト

シュラッグ

ファーマーズウォーク

などでは注意が必要です。


Q4. ボトックス中でも筋肥大できますか?

注射していない筋肉は通常どおりトレーニングできます。

一方、注射した筋肉では筋肥大刺激が低下する可能性があります。


Q5. ボトックス後は何日休めばいい?

科学的に

「○日休めば安全」

という基準はありません。

症状や注射部位に応じて判断する必要があります。


最新研究から分かったこと

現在のエビデンスから比較的確実に言えることを整理すると、

分かっていること

✅ ボトックスはアセチルコリン放出を抑制する。

✅ 注射した筋肉の筋力は低下する可能性が高い。

✅ 効果は数週間〜数か月持続することが多い。

✅ 競技で使う筋肉ではパフォーマンス低下の可能性がある。

✅ エラボトックスでは筋厚や咬合力が低下する。


まだ分かっていないこと

❌ ボディビルダーではどうなのか

❌ 筋肥大への影響量

❌ BIG3の重量変化

❌ ベンチプレス速度

❌ スクワット1RM

❌ デッドリフトへの影響

❌ RFD(力の立ち上がり速度)

❌ パワー発揮

健康な筋トレ実践者を対象とした研究は非常に少なく、この点は今後の重要な研究課題です。


まとめ

ボトックスは、美容医療だけでなく神経疾患や筋緊張異常の治療にも広く用いられる薬剤です。その作用は神経筋接合部でアセチルコリンの放出を抑え、注射した筋肉の収縮を弱めることにあります。

筋力トレーニングの観点では、注射した筋肉では筋力低下や筋肥大刺激の減少が起こる可能性が高い一方、額や眉間などへの美容目的の少量注射が全身の筋力や競技パフォーマンスを低下させることを示す直接的な研究はありません。

一方で、「影響がない」と証明されたわけでもありません。健康なトレーニーやアスリートを対象とした研究は極めて少なく、BIG3や筋肥大、競技成績への影響は今後の研究が待たれる分野です。

そのため、現時点で最も実践的な考え方は、

  • トレーニングで重要な筋肉への注射は慎重に計画する
  • 競技前や大会直前の施術は主治医と相談する
  • 復帰は日数ではなく、筋力やフォームなど「機能」を基準に判断する

という3点です。


参考文献(一部)

※以下は、提供資料で取り上げられている主要文献です。

  • Gill S, et al. Systematic Review of Botulinum Toxin and Muscle Strength. 2024.
  • Schiavo G, et al. Botulinum Neurotoxins Cleave SNAP-25. Nature. 1993.
  • Sloop RR, et al. Dose-response study of botulinum toxin in healthy adults. 1996.
  • Murphy C, et al. Elite athlete treated with botulinum toxin for functional popliteal artery entrapment syndrome. 2017.
  • Sitnikova K, et al. Recovery of masseter muscle function after botulinum toxin injection. 2022.
  • Alexander N, et al. Changes in gastrocnemius muscle volume following botulinum toxin injection. 2018.
  • 日本国内添付文書(onabotulinumtoxinA)。